【密教】不動明王 明王の元祖

明王, 密教

不動明王とは


不動明王は明王の元祖であり、もっとも有名な明王です。
大日如来の化身とされ「明王中の明王」という存在です。

仏の教えに従わないものを大日如来の命をうけ強制的に従わせる使命を持っています。
そのため、怒りのあふれ出た表情で睨みをきかせています。

すべての生きとし生ける者を救ってくれます。

不動明王の姿

・左右の目が違う方向を見ている。
・歯がバラバラ。
・髪は巻き毛。

または
・両目をしっかり見開いている。
・口を堅く結んでいる。
・髪は長く編んであり左側にたらしている。

「または」と2パターンあるのは、もともとが2タイプあったものが混成されて現在に至っていることがあります。

不動明王の2タイプ

1.奴婢タイプ

・古代インドでの原型は奴婢で、見た目は醜悪。飾りを身に着けることはまれ。
・左右の目が違う方向を見ている。
・歯がバラバラ。
・髪はぼさぼさ。

2.空海リメイクタイプ

・元は奴婢の設定であった明王だが、空海が日本に取り入れる際に大日如来の化身と位置付けられたことで、一気にメイングループの座に躍り出た。
・両目を見開き口を堅く結んでいる。
・髪は長く編んであり左側にたらしている。

時を経て「髪は巻き毛だけれど長く編んで左側にたらす」などいいところを取り入れた像が定型となりました。

また、大日如来の使い走りが元であったため、当初は子どもの姿をしていました。

不動明王の火炎

不動明王のバックにある火炎を「迦楼羅炎(かるらえん)」といいます。
迦楼羅は古代インド神話に登場する霊鳥で、毒蛇や悪龍を食うといわれています。

迦楼羅炎は迦楼羅がはきだす炎で、人々の煩悩を食うといわれているのです。

不動明王の持ち物

・右手に剣。
・左手に羂索(縄)。
羂索で煩悩をしばり、剣でそれを断つといわれています。

矜羯羅童子・制吒迦童子

不動明王には脇侍がいます。
矜羯羅童子(こんがらどうじ)と制吒迦童子(せいたかどうじ)です。

矜羯羅童子とは

「慈悲」を表し穏やかな表情をしています。
サンスクリット語で「命令されたことに従い動く」の意味があります。
向かって右側に控えます。

制吒迦童子とは

「忿怒」を表し怒った表情をしています。
サンスクリット語で「従者」を意味します。
向かって左側に控えます。