【密教】明王 怖い顔をしているのはなぜ?

明王, 密教

明王とは


明王(みょうおう)は、如来の世界を脅かす邪鬼・仏敵を威嚇し力によって制圧したり、また教えを聞き入れない者を如来の命を受け強制的に従わせて救うという役割を負っている尊格です。

密教・真言宗の開祖である空海が唐から持ち帰った密教特有の仏様です。

明王の由来

明王はもともとインドが発祥です。
インドではサンスクリット語で
「ヴィドャー・ラージャ」の名がありました。漢字を当てはめると
「ヴィドャー」は知識や知恵を表す「明」、
「ラージャ」は「王」で、
「明王」とよばれるようになったのです。

明王の姿

・激しく怒った表情をしている。
・牛・ヘビ・孔雀などの動物を組み入れている場合がある。

明王の持ち物

・剣や羂索、弓・矢など。
これらの武器を使って人々を救います。

明王の火炎

明王はバックに火炎(かえん)を背負っています。
正式には火焔光(かえんこう)といい、智慧を表しています。
また強い仏心の象徴でもあり、炎で煩悩を焼き尽くします。

明王の種類

明王は不動明王を頂点とする5大明王や愛染明王、孔雀明王など個性豊かないくつもの種類があります。

5大明王

不動明王


不動明王は明王の元祖であり、もっとも有名な明王です。
大日如来の化身とされ「明王中の明王」という存在です。

降三世明王


降三世明王(こうざんぜみょうおう)は貪欲・憎しみ・迷いの三世を取り払ってくれる明王です。

軍荼利明王


軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)は、悪魔・外敵から人々を守ってくれる明王です。

大威徳明王


大威徳明王(だいいとくみょうおう)は、戦いに勝利をもたらしてくれる明王です。

金剛夜叉明王


金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおうは)、過去・現在・未来の悪を取り去ってくれる明王です。

単身の明王

愛染明王


愛染明王(あいぞめみょうおう)は、恋愛成就や縁結びをかなえてくれることで有名です。
それだけでなく、長寿、友好の願いも聞き届けてくれる明王です。

愛染明王の姿

・全身が赤い。
・目が3つある。
・腕が6本ある。

愛染明王の持ち物

・弓と矢(キューピット的なイメージで、ヒンドゥー教でも愛の神は花の弓矢を持っている)

ヒンドゥー教の愛の神カーマ

・獅子の冠を乗せている。
・金剛杵、金剛鈴。
など。

孔雀明王


孔雀はヘビや虫を好んで食べてくれる鳥です。
孔雀明王(くじゃくみょうおう)は、インドに多く生息する毒蛇を取り除いてくれる孔雀になぞらえて、一切の恐怖や災難を取り除いてくれる神として信仰されました。

孔雀明王の持ち物

・ざくろ。
・孔雀の尾羽
・蓮華
・法輪
など。